日経デザイン2006年11月号の「Web Site Design入門」第5回に、最も単純なコードの例として、以下のようなコードが例示されている。
<html>
<body>
<p>
(テキスト本文があるけどこれの引用は省略)
</p>
</body>
</html>
これに対する本文での説明はこうだ。
どんな種類のHTMLであってもこのデータがHTMLであることをまず明確にするため、HTMLというタグを最初に入れる。
なんていうかもう、びっくりだ。まだこんな解説やってんのかいな。これを書かれた矢野りんさんは、
CSS Nite LP, Disk 1というCSSとかWeb標準とかをコアなトピックとして行われているセミナーで講演もしている人であるのだが。
はたして、こんなことでいいんだろうか?
§
仕様の理解はWeb標準の根本であろう。仕様を理解していないのなら、解説しないで欲しい。HTMLのコードがうんたらっていうのは矢野さんの専門性ではないのだとしたら、なおさら、そこは避けて解説すべきではないか。自身が(あるいは自身の著作が)それなりの影響力を持っていることは自覚しているのだろうし。
ひとむかし前であれば、トンデモ系のHTML解説書が多くて閉口だったのだけど、最近はだいぶその状況は改善されたと思う。でも、そのひとむかし前に覚えた誤った知識のまま、今もやっている人っていうのは、やっぱりたくさんいるんだろうな。
ちなみに、最も単純なコードの例は、HTML 4.01 Transitionalであれば、以下のようなもの。
<!DOCTYPE html PUBLIC "-//W3C//DTD HTML 4.01 Transitional//EN">
<title>最も単純なコードの例</title>
この行はbody要素の内容。
まずこのデータがHTML 4.01 Transitionalの文書であることを示すための文書型宣言。これは必須であり、どんな種類のHTML文書であっても省略できない。それがHTML文書であることを示すのは、決してhtml要素の開始タグではない。
そして、html要素、head要素、body要素のそれぞれの開始タグと終了タグは省略できるが、title要素の開始タグと終了タグは省略できない。
だからこうなる。
っていうのは、HTMLの基本であり基礎であり大前提なのだが…。
とりあえずこの連載、こうまじまじと読んだのは初めてなのだけど、もう二度と読まないだろう。日経デザイン自体は、今後も読み続けるにしても。
(おそらくこのエントリー中で特に余計な文章は此処だろうと思ったので打ち消しておきます。これからも読みます[謎]。 06/11/10 AM1:36)
後半のページにはこんなことも書いてある。
しかし、フォーマットで考えると、HTMLはHTMLだがXHTMLはXMLの仲間である。本当であれば拡張子もXMLとすべきなのだが、今現在普及しているHTMLとうまく混在させるのは難しいため、とりあえずはHTMLと同じ拡張子が当てがわれている。
「本当であれば」って何だ? 「拡張子」って? そして「とりあえず」とは?
Media typesのことを知らない人たちのために、あえて拡張子と解説したつもりなのかもしれないが、それは余計に誤解を生むので、やめたほうがいいだろう。素直にMedia typesのことを説明すべきか、あるいはくどくど書かずにまるごと解説を避ければ良い。
そして、最後のしめくくりにズッコケた。
実際XML宣言文のどこかにタイプミスがあったとしても、ブラウザは何事もなかったようにページを表示する。しかしながらWebデザインは、見えないところにこそ手をかけなければならないのだ。
……。
意味がわからない。
(「意味がわからない」というのは愛嬌[謎]で、どういうことなのかという点については当該エントリーのコメントで補足してます。 06/11/10 AM1:38)
完。[謎]